第48回核燃料取扱主任者試験問題(平成28年)(法規)

1.

(1)

第一条 原子力基本法第三条第二号の核燃料物質は、次に掲げる物質とする。
一 ウラン 235 のウラン 238 に対する比率が 天然の混合率 であるウラン及びその化合物
二 ウラン 235 のウラン 238 に対する比率が 天然の混合率 に達しないウラン及びその化合物
トリウム 及びその化合物
四 前三号の物質の一又は二以上を含む物質で原子炉において燃料として使用できるもの
五 ウラン 235 のウラン 238 に対する比率が 天然の混合率 をこえるウラン及びその化合物
プルトニウム 及びその化合物
七 ウラン二三三及びその化合物
八 前三号の物質の一又は二以上を含む物質

 

(2)

(ア) 原子炉等規制法
(目的)
第一条 この法律は、原子力基本法 (昭和三十年法律第百八十六号)の精神にのつとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が 平和の目的 に限られることを確保するとともに、原子力施設において(A)重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されることその他の核原料物質、核燃料物質及び原子炉による 災害 を防止し、及び核燃料物質を 防護 して、公共の安全を図るために、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し、大規模な 自然災害 及び テロリズム その他の 犯罪行為 の発生も想定した必要な規制を行うほか、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制物資の使用等に関する必要な規制を行い、もつて国民の 生命健康 及び財産 の保護、 環境保全並びに我が国の 安全保障 に資することを目的とする。

(イ) 下線部(A)に関連して、加工施設について、原子炉等規制法に基づき原子力規制委員会規則で定める重大な事故は、 ⑫ 条件の下において発生する事故であつて、次に掲げるものである。
臨界事故
核物質等を閉じ込める機能の喪失

 

(3)

(ア) 原子力規制委員会は、原子炉等規制法の施行に必要な限度において、その職員に廃棄事業者の事務所又は工場若しくは事業所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を 検査 させ、関係者に 質問 させ、又は試験のため必要な最小限度の量に限り、核原料物質、核燃料物質その他の必要な試料を 提出 させることができる。
(イ) (ア)の規定により職員が立ち入るときは、その 身分を示す証明書 を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを 提示 しなければならない。
(ウ) (ア)の規定による権限は、 犯罪捜査 のために認められたものと解してはならない。
(エ) (ア)の規定による立入り、 検査 若しくは 質問を拒み、妨げ、若しくは 忌避 し、又は
質問 に対して陳述をせず、若しくは 虚偽 の陳述をした者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると罰則として定められている。

 

2.

(1)原子炉等規制法に基づく加工施設の安全性の向上のための評価に関するもの

(ア) 加工事業者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、その加工施設における安全性の向上を図るため、原子力規制委員会規則で定める時期ごとに、当該加工施設の安全性について、自ら評価をしなければならない。
(イ) 前項の評価は、次に掲げる事項について調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該加工施設の 全体 に係る安全性について総合的な評定をして、行わなければならない。
一 加工施設において予想される事故の発生及び拡大の防止(以下この号において「事故の発生の防止等」という。)のため次に掲げる措置を講じた場合における当該措置及びその措置による事故の発生の防止等の 効果 に関する事項
イ 加工施設の 設計及び工事の方法の技術基準に関する規則において 設置 すべきものと定められているもの以外のものであつて事故の発生の防止等に資する 設備又は 機器設置すること。
ロ 保安の確保のための 人員 の増強、 保安教育 の充実等による事故の発生の防止等を着実に実施するための 体制 を整備すること。
二 前号イ及びロに掲げる措置を講じたにもかかわらず、重大事故の発生に至る可能性がある場合には、その可能性に関する事項

(ウ) 加工事業者は、(ア)の評価を実施したときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該評価の結果、当該評価に係る調査及び分析並びに評定の方法その他原子力規制委員会規則で定める事項((エ)において「評価の結果等」という。)を原子力規制委員会に届け出なければならない。
(エ) 加工事業者は、(ウ)の規定による届出をしたときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該届出をした評価の結果等を 公表 するものとする。

 

(2) 原子炉等規制法に基づく、再処理施設に係る再処理事業者の設計及び工事に係る品質管理の方法及びその検査のための組織の技術基準に関する規則

 

(ア) 再処理事業者は、要求事項に適合しない個別業務又は再処理施設が 放置 されることを防ぐよう、当該個別業務又は再処理施設を 識別 し、これが管理されているようにしなければならない。
(イ) 再処理事業者は、不適合の処理に係る管理及びそれに関連する 責任 及び 権限 を手順書に定めなければならない。
(ウ) 再処理事業者は、次に掲げる方法のいずれかにより、不適合を処理しなければならない。
一 発見された不適合を 除去 するための措置を講ずること。
二 個別業務の実施、再処理施設の 使用 又は プロセス の次の段階に進むことの承認を行うこと(以下「特別採用」という。)。
三 本来の意図された 使用 又は 適用ができないようにするための措置を講ずること。
四 個別業務の実施後に不適合を発見した場合においては、その不適合による 影響 又は起こり得る 影響に対して適切な措置を講ずること。
(エ) 再処理事業者は、不適合の内容の記録及び当該不適合に対して講じた措置(特別採用を含む。)の記録を作成し、これを管理しなければならない。
(オ) 再処理事業者は、不適合に対する修正を行った場合においては、修正後の個別業務等要求事項への適合性を実証するための 再検証 を行わなければならない。

 

3.

(1) 核燃料物質の加工の事業に関する規則のうち、加工事業者が加工施設を設置した工場又は事業所において行われる放射性廃棄物の廃棄に関して採らなければならない措置に関する条文

1) 気体状の放射性廃棄物は、次に掲げるいずれかの方法により廃棄すること。
排気施設 によって排出すること。
放射線障害防止 の効果を持った廃気槽に 保管廃棄 すること。

2) 液体状の放射性廃棄物は、次に掲げるいずれかの方法により廃棄すること。
排水施設 によって排出すること。
放射線障害防止 の効果を持った廃液槽に 保管廃棄 すること。
ウ 容器に 封入 し、又は容器に固型化して 放射線障害防止 の効果を持った 保管廃棄 施設に 保管廃棄 すること。
3) 気体状の放射性廃棄物及び液体状の放射性廃棄物については、それぞれ 排気施設排水施設 において放射性物質の濃度をできるだけ低下させることが求められている。それぞれに共通する方法を2つ記せ。
放射能の時間による減衰
多量の空気、水による希釈

ろ過
4) 固体状の放射性廃棄物は、次に掲げるいずれかの方法により廃棄すること。
ア 容器に 封入 し、又は容器に固型化して 保管廃棄 の効果を持った 保管廃棄 施設に 保管廃棄 すること。
イ アの方法により廃棄することが著しく困難な 大型機械 等の放射性廃棄物等については、 放射線障害防止の効果を持つた 保管廃棄 施設に保管廃棄 すること

 

(2) 再処理事業者が放射線業務従事者の線量等に関し講じなければならない措置として、使用済燃料の再処理の事業に関する規則第 10 条に規定されている線量限度

平常時の放射線業務従事者の線量限度は、実効線量について、次のとおりとする。
ア 5年間につき 100 ミリシーベルト
イ 1年間につき 50 ミリシーベルト
ウ 妊娠中である女子については、ア及びイに規定するほか、本人の申出等により再処理事業者が妊娠の事実を知ったときから出産するまでの間につき、内部被ばくについて 1 ミリシーベルト
エ ウ以外の女子(妊娠不能と診断された者等を除く。)についてはア及びイに規定するほか、原子力規制委員会が定める時期を始期とする各 3 月間につき 5ミリシーベルト

 

(3) 再処理事業者は、再処理施設に関し人の障害が発生した事故、再処理施設の故障その他の原子力規制委員会規則で定める事象が生じたときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、遅滞なく、事象の状況その他の原子力規制委員会規則で定める事項を原子力規制委員会に報告しなければならない旨義務づけられている。
次の文章は,具体的な報告の対象事象として、使用済燃料の再処理の事業に関する規則(以下、「再処理規則」という。)で定められている事象の抜粋

 

1 再処理規則で定める報告対象事項(条文から一部抜粋)
核燃料物質 の盗取又は所在不明が生じたとき。
イ 再処理施設の故障があつた場合において、当該故障に係る修理のため特別の措置を必要とする場合であつて、再処理に支障を及ぼしたとき。
ウ 再処理施設の故障により、 使用済燃料 等を限定された区域に閉じ込める機能、外部放射線による放射線障害を防止するための 放射線の遮蔽 機能、再処理施設における 火災若しくは爆発 の防止の機能若しくは 重大事故に対処 するための機能を喪失し、又は喪失するおそれがあつたことにより、再処理に支障を及ぼしたとき。
エ 再処理施設の故障その他の不測の事態が生じたことにより、気体状の放射性廃棄物の排出又は液体状の放射性廃棄物の排出の状況に異状が認められたとき。
オ 気体状の放射性廃棄物を排出した場合において、 周辺監視区域 の外の空気中の放射性物質の濃度が原子力規制委員会の定める濃度限度を超えたとき。
使用済燃料 等が 管理区域 外で漏えいしたとき。
キ 再処理施設の故障その他の不測の事態が生じたことにより、 使用済燃料 等が 管理区域 内で漏えいしたとき。ただし、次のいずれかに該当するとき(漏えいに係る場所について人の立入制限、鍵の管理等の措置を新たに講じたとき又は漏えいした物が 管理区域 外に広がつたときを除く。)を除く。
1) 漏えいした液体状の 使用済燃料 等が当該漏えいに係る設備の周辺部に設置された漏えいの拡大を防止するための堰の外に拡大しなかつたとき。
2) 気体状の 使用済燃料 等が漏えいした場合において、漏えいした場所に係る換気設備の機能が適正に維持されているとき。
3) 漏えいした 使用済燃料 等の放射能量が微量のときその他漏えいの程度が軽微なとき。
核燃料物質 臨界 に達し、又は達するおそれがあるとき。

ケ 再処理施設の故障その他の不測の事態が生じたことにより、管理区域 に立ち入る者について被ばくがあつたときであつて、当該被ばくに係る実効線量が放射線業務従事者にあつては五 ミリシーベルト放射線業務従事者以外の者にあつては 0.5 ミリシーベルトを超え、又は超えるおそれのあるとき。
放射線業務従事者について原子力規制委員会の定める線量限度を超え、又は超えるおそれのある被ばくがあつたとき。
サ ア~コのほか、再処理施設に関し、人の障害(放射線障害以外の障害であつて入院治療を必要としないものを除く。)が発生し、又は発生するおそれがあるとき。
2 再処理事業者は、上記のア~サのいずれかに該当するときは、その旨を直ちに 、その状況及びそれに対する処置を十日以内原子力規制委員会に報告しなければならない。

 

4.

(1)加工事業者に係る事業の廃止に伴う措置に関する法令

加工事業者は、その事業を廃止しようとするときは、廃止措置として、加工施設の ① 、その保有する核燃料物質の譲渡し、核燃料物質による ② 、核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の ③ 及び放射線業務従事者に係る ④ の原子力規制委員会が指定する機関への⑤ を行わなければならない。なお、加工事業者は、これらの廃止措置を講じようとするときは、あらかじめ、原子力規制委員会規則で定めるところにより、 ⑥ を定め、原子力規制委員会の⑦ を受けなければならない。
原子力規制委員会は、 ⑦ を受けた ⑥ に従わず廃止装置を講じた加工事業者に対し、核
燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物による ⑧ するために ⑨ を命ずることができる。また、加工事業者は、廃止措置が終了したときは、その結果が原子力規制委員会規則で定める基準に適合していることについて、原子力規制委員会の ⑩ を受けなければならない。