第47回核燃料取扱主任者試験問題(平成27年)(法規)
(1)
(ア) 原子力利用は、 平和利用 の目的に限り、 安全の確保 を旨として、 民主的 な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その 成果 を公開し、進んで国際協力に資するものとする。
(イ) (ア)の 安全の確保 については、確立された 国際的な基準 を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。
(ウ) 原子炉等規制法は、原子力基本法の精神にのつとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が 平和利用 の目的に限られることを確保するとともに、原子力施設において 重大な事故 が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されることその他の核原料物質、核燃料物質及び原子炉による 災害 を防止し、及び核燃料物質を防護して、公共の安全 を図るために、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し、大規模な 自然災害 及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うほか、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために、 国際規制物資 の使用等に関する必要な規制を行い、もつて国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。
(エ) 原子力事業者等は、原子炉等規制法の規定に基づき、原子力施設における 安全に関する最新の知見 を踏まえつつ、核原料物質、核燃料物質及び原子炉による 災害の防止に関し、原子力施設の 安全性の向上 に資する設備又は機器の設置、 保安教育の充実 その他必要な措置を講ずる責務を有する
(2)
(ア) 加工事業者は、核燃料物質の取扱いに関して 保安の監督 を行わせるため、工場または事業所毎に、核燃料取扱主任者免状を有する者であつて、 核燃料の取扱いの業務 に従事した期間が 三年以上 の経験を有するもののうちから、核燃料取扱主任者を選任しなければならない。
(イ) 核燃料取扱主任者は、加工の事業における核燃料物質の取扱いに関し、誠実に その職務 を遂行しなければならない。
(ウ) 加工の事業において核燃料物質の取扱いに従事する者は、核燃料取扱主任者がその取扱いに関して 保全のためにする指示 に従わなければならない。
(エ) 原子力規制委員会は、核燃料取扱主任者が原子炉等規制法又は原子炉等規制法に基づく命令の規定に違反したときは、加工事業者に対し、 核燃料取扱主任者の解任 を命ずることができる。
(オ) 原子力規制委員会は、核燃料取扱主任者免状の交付を受けた者が原子炉等規制法又は原子炉等規制法に基づく命令の規定に違反したときは、その 返納 を命ずることができる。
2.原子炉等規制法
(1)
(ア) 再処理事業者は、保安規定の 尊守の状況について、原子力規制委員会が 定期 に行う検査を受けなければならない。この規定による検査は、毎年 一回 行うものとする。
この検査に当たつては、原子力規制委員会の指定するその職員は、次に掲げる事項を行うことができる。
一 事務所又は工場若しくは事業所への立入り
二 帳簿、 書類、設備、機器その他必要な物件の検査
三 従業者その他関係者に対する 質問
四 核原料物質、核燃料物質、核燃料物質によつて汚染された物その他の必要な試料の提出(試験のため必要な最小限度の量に限る。)をさせること
(イ) (ア)の規定により職員が立ち入るときは、その 身分を示す証明書 を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを 提示 しなければならない。
(ウ) (ア)の規定による立入り、検査若しくは試料の提出を 拒み 、妨げ、若しくは 忌避 し、又は質問 に対して陳述をせず、若しくは 虚偽 の陳述をした者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると罰則として定められている。
(2)廃棄物管理を行う廃棄事業者が、廃棄物管理施設を設置した事業所内において核燃
料物質等を運搬する場合に関する法令
廃棄物管理事業者は、廃棄物管理施設を設置した事業所内の核燃料物質等の運搬に関し、運搬物の表面における線量当量率については、 二ミリ シーベルト毎時を、また運搬物の表面から 一メートルの距離における線量当量率については、 百マイクロ シーベルト毎時を超えないようにしなければならない。
なお、核燃料物質等を運搬する場合は、法令で規定する場合を除きこれを 容器 に封入することとし、この 容器 は容易かつ安全に取り扱うことができ、かつ、運搬中に予想される 温度 及び 内圧 の変化、振動等により、き裂、 破損 等が生ずるおそれのないものでなければならない。
このとき、 容器 に外接する直方体の各辺が 十センチ メートル以上となるものでなければならない。また、運搬物の運搬機器への積付けは、運搬中において移動し、転倒し、又は転落するおそれがないように行うとともに、核燃料物質等は、同一の運搬機器に 原子力規制委員会 の定める危険物 と混載してはならない。
3.廃棄の事業における施設の技術上の基準適合
(1)
(ア)第一種廃棄物埋設事業者又は廃棄物管理事業者は、特定廃棄物埋設施設又は特定廃棄物管理施設の 性能 が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するようにこれらの施設を維持 しなければならない。ただし、閉鎖措置計画又は廃止措置計画の 認可を受けた 場合における当該廃止措置 計画に係る施設については、この限りでない。
(イ)原子力規制委員会は、特定廃棄物埋設施設若しくは特定廃棄物管理施設の 性能 が許可の基準に適合していないと認めるとき、特定廃棄物埋設施設若しくは特定廃棄物管理施設の 性能 が(ア)の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は廃棄物埋設施設若しくは廃棄物管理施設の保全、附属設備若しくは廃棄物管理設備の操作若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物の運搬若しくは廃棄(廃棄物埋設施設又は廃棄物管理施設を設置した事業所内の運搬又は廃棄に限る。)に関する措置が法令に定める規定に違反していると認めるときは、その廃棄事業者に対し、当該廃棄物埋設施設又は廃棄物管理施設の 停止 、 改造 、修理 又は移転 、附属設備又は廃棄物管理設備の 操作の方法 の指定その他 保安 のために必要な措置を命ずる
(2)(1)(ア)の原子力規制委員会規則で定める技術基準の適合性が求められる検査を2つあげよ。
施設検査 溶接検査
(3)使用済燃料の貯蔵の事業の許可に関する法令
使用済燃料の貯蔵の事業の許可基準には、次のような事項が掲げられている。
(ア) その事業を適確に遂行するに足りる 技術的能力 及び経理的基礎があること。
(イ) 使用済燃料貯蔵施設の 位置、構造及び設備が使用済燃料又は使用済燃料によつて汚染された物による 災害の防止上支障がないとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。
ここで、原子力規制委員会規則で定める基準とは、「使用済燃料貯蔵施設の 位置、構造及び設備 の基準に関する規則」のことをいう。同規則では、安全設計上想定される事故のうち、公衆が被ばくする線量を評価した結果、その線量が最大となるものを 設計最大評価事故 と定義したうえで、この事故が発生した場合において、事業所周辺の公衆に 放射線障害 を及ぼさないものでなければならないことなどの技術上の基準が定められている。
また、使用済燃料の貯蔵の事業の許可申請書には、使用済燃料貯蔵施設の操作上の 過失 、機械又は装置の 故障 、 浸水 、地震、火災、爆発等があった場合に発生すると想定される使用済燃料貯蔵施設の事故の種類、程度、影響等に関する説明書などを添付しなければならないことが使用済燃料の貯蔵の事業に関する規則において定められている。
4.核燃料物質等の事業所外運搬に関する法令
原子力事業者等(原子力事業者等から 運搬を委託された者 を含む。)は、核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物を工場等の外において運搬する場合( 船舶 又は航空機により運搬する場合を除く。)、運搬する物に関しては 原子力規制委員会規則、その他の事項に関しては 原子力規制委員会規則(鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車及び軽車両による運搬については、 国土交通省令 )で定める技術上の基準に従つて保安 のために必要な措置(当該核燃料物質に政令で定める特定核燃料物質を含むときは、保安 及び特定核燃料物質の防護のために必要な措置)を講じなければならない。このとき、原子力規制委員会 又は 国土交通大臣は、核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の 運搬に関する措置 が技術上の基準に適合していないと認めるときは、原子力事業者等に対し、運搬の停止その他 保安 及び特定核燃料物質の防護のために必要な措置を命ずることができる。
原子力事業者等は、運搬に使用する 容器 について、あらかじめ、 原子力規制委員会規則 で定めるところにより、 原子力規制委員会 の 承認 を受けることができる。この 承認 を受けた 容器 については、上記の技術上の基準のうち容器 に関する基準は、満たされたものとされる。
(2)核燃料物質等の工場又は事業所の外において行われる放射性廃棄物の廃棄の際に
採るべき措置
原子力事業者等が、製錬施設、加工施設、試験研究用等原子炉施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、廃棄物埋設施設、廃棄物管理施設又は使用施設等を設置した工場又は事業所の外において放射性廃棄物の廃棄をする場合には、法令で定める場合を除き、 放射線障害防止の効果 を持った 廃棄施設 に廃棄しなければならない。このとき、当該 廃棄施設 を設置した原子力事業者等に、当該放射性廃棄物に関する記録の写しを 交付 しなければならないことが定められている。
この記録とは、原子炉等規制法に基づき記録されるべき事項であり、例えば、加工事業者の場合にあっては、放射性廃棄物の 種類 、当該放射性廃棄物に含まれる 放射性物質 、当該放射性廃棄物を容器に 封入 し、又は容器に 固形化 した場合には当該容器の数量及び比重並びにその廃棄の日時 、 場所 及び 方法 である。
5.
(1)核燃料物質の使用の許可を受けた者は、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の工場又は事業所における廃棄について、法令に定める技術上の基準に従って措置を講じることが求められている。この措置のうち、固体状の放射性廃棄物の廃棄方法に関するものを三つ記せ。
(2)使用済燃料の再処理の事業に関する規則に基づく巡視等
(ア)再処理事業者(廃止措置計画の認可を受けた者を除く。)は、 毎日一回 以上、 従業者 に再処理施設について、巡視及び 点検 を行わせなければならない。
(イ)廃止措置計画の認可を受けた再処理事業者は、 毎週一回 以上(次の各号のいずれかに該当する場合は 毎日一回 以上)、 従業者 に再処理施設について、巡視を行わせなければならない。
一 廃止措置対象施設内に使用済燃料 が存在している場合(再処理設備本体を通常の方法により操作した後に 使用済燃料 が回収されることなく滞留している場合を除く。)
二 廃止措置対象施設内に存在している核燃料物質が 臨界に達し、又は達するおそれが がある場合(再処理設備本体を通常の方法により操作した後に核燃料物質が回収されることなく滞留している場合を除く。)
三 廃止措置対象施設内に 使用済燃料を 溶解した液体から核燃料物質その他の有用物質を 分離 した残りの液体(その放射能が 三・七テラベクレル 以上のものに限る。)又は ガラス固化体 が存在している場合。