第50回核燃料取扱主任者試験問題(平成30年)(法規)

1.

(1) 原子力基本法の基本方針について
     原子力利用は、 平和利用 に限り、 安全の確保 を旨として、民主的な運営の下に、 自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力 に資するものとする。
      安全の確保 については、確立された 国際的な基準 を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、  環境の保全 並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。
 

(2) 原子力基本法及び関連政令における定義について

 

原子力基本法

一 「原子力」とは、原子核変換の過程において 原子核から放出されるすべての種類の エネルギーをいう。
二 「核燃料物質」とは、ウラン、トリウム等原子核分裂の過程において高エネルギー
を放出する物質であつて、政令で定めるものをいう。

三 「核原料物質」とは、ウラン鉱、トリウム鉱その他核燃料物質の原料となる物質で
あつて、政令で定めるものをいう。
四 「原子炉」とは、 核燃料物質を燃料 として使用する装置をいう。ただし、政令で定めるものを除く。 
五 「放射線」とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に 空気を電離 する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。

 

核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令

(核燃料物質)
原子力基本法の核燃料物質は、次に掲げる物質とする。
一 ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が 天然の混合率 であるウラン及びその化合物
二 ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が 天然の混合率 に達しないウラン及びその化合物
三 トリウム及びその化合物
四 (略)
五 ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が 天然の混合率 をこえるウラン及びその化合物
六  プルトニウム及びその化合物
七  ウラン233 及びその化合物

(核原料物質)
原子力基本法の核原料物質は、ウラン若しくはトリウム又はその化合物を含む物質で核燃料物質以外のものとする。
 
(原子炉)
原子力基本法の原子炉の定義において、ただし書の政令で定めるものは、 原子核分裂の連鎖反応 を制御することができ、かつ、その 反応の平衡状態中性子 を用いることなく 持続する ことができ、又は 持続する おそれのある装置以外のものとする。
 

放射線
原子力基本法放射線は、次に掲げる電磁波又は粒子線とする。
一 アルフア線、重陽子線、陽子線その他の重荷電粒子線及びベータ線
二  中性子  
ガンマ線及び特性エックス線
軌道電子捕獲 に伴つて発生する特性エックス線に限る。)
四  一メガ電子ボルト 以上の エネルギー を有する電子線及びエックス線
 

2.

(許可の基準) 
第五十一条の三 原子力規制委員会は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力 及び 経理的基礎 があること。
二 廃棄物埋設施設又は廃棄物管理施設の位置、構造及び設備が核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物による 災害の防止上支障がないもの として原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。

 

(2)

(火災等による損傷の防止) 
第四条 廃棄物管理施設は、火災又は爆発により当該廃棄物管理施設の安全性が損なわれないよう、次に掲げる措置を適切に組み合わせた措置を講じたものでなければならない。
一 火災及び爆発の発生を防止すること。 
二 火災及び爆発の発生を 早期に感知し、及び消火すること。 
三 火災及び爆発の 影響を軽減 すること。
 
(安全機能を有する施設) 
第十一条 安全機能を有する施設は、その安全機能の 重要度 に応じて、その機能が確保されたものでなければならない。

2 安全機能を有する施設を他の原子力施設と共用し、又は安全機能を有する施設に属する設備を一の廃棄物管理施設において共用する場合には、廃棄物管理施設の安全性を損なわないものでなければならない。 
3 安全機能を有する施設は、当該施設の安全機能を確認するための検査又は試験及び当該安全機能を健全に維持するための 保守又は修理 ができるものでなければならない。 
4 安全上重要な施設又は当該施設が属する系統は、廃棄物管理施設の安全性を確保する機能を維持するために必要がある場合には、 多重性 を有しなければならない。

 

(3)

(閉じ込めの機能)
第六条 特定廃棄物埋設施設又は特定廃棄物管理施設は、次に掲げるところにより、放射性廃棄物限定された区域 に閉じ込める機能を保持するように施設しなければならない。
一 流体状の放射性廃棄物を内包する容器又は管に放射性廃棄物を含まない流体を導く管を接続する場合には、流体状の放射性廃棄物放射性廃棄物を含まない流体を導く管に
 逆流 するおそれがない構造であること。
二 密封されていない放射性廃棄物を取り扱うフードは、その開口部の 風速 を適切に維持し得るものであること。
放射性廃棄物による汚染の発生のおそれのある室は、必要に応じ、その内部を負圧状態 に維持し得るものであること。
四 液体状の放射性廃棄物を取り扱う設備が設置される施設(液体状の放射性廃棄物
 漏えい が拡大するおそれがある部分に限る。)は、次に掲げるところにより施設すること。
イ 施設内部の床面及び壁面は、液体状の放射性廃棄物漏えい し難いものであること。
 ロ 液体状の放射性廃棄物を取り扱う設備の周辺部又は施設外に通じる出入口若しくはその周辺部には、液体状の放射性廃棄物が施設外へ 漏えい することを防止するための
  が施設されていること。ただし、施設内部の床面が隣接する施設の床面又は地表
面より低い場合であって、液体状の放射性廃棄物が施設外へ 漏えいするおそれがないと
きは、この限りでない。
ハ 事業所の外に排水を排出する排水路(湧水に係るものであって放射性廃棄物により汚染するおそれがある管理区域内に開口部がないものを除く。)の上に施設の床面がないようにすること。ただし、当該排水路に放射性廃棄物により汚染された排水を安全に廃棄する設備及び第十五条第一項第三号に掲げる事項を計測する設備を施設する場合は、この限りでない。

(遮蔽)
第七条 特定廃棄物埋設施設又は特定廃棄物管理施設は、当該施設からの 直接線 及びスカイシャイン線による事業所周辺の線量が原子力規制委員会の定める線量限度を十分下回るように施設しなければならない。
2 事業所内における外部放射線による放射線障害を防止する必要がある場所には、放射線障害を防止するために必要な遮蔽能力を有する遮蔽設備を施設しなければならない。この場合において、当該遮蔽設備に開口部又は 配管 その他の 貫通部 がある場合であって放射線障害を防止するために必要がある場合には、放射線漏えい を防止するための措置を講じなければならない。

 

3.

(工場又は事業所内の運搬)
第七条の六 法第二十一条の二第一項の規定により、加工事業者は、加工施設を設置した工場又は事業所内の核燃料物質等の運搬に関し、次の各号に掲げる措置を採らなければならない。
一 核燃料物質の運搬は、いかなる場合においても、核燃料物質が 臨界 に達するおそれがないように行うこと。
二 核燃料物質等を運搬する場合は、これを容器に封入すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
イ 核燃料物質によつて汚染された物(その放射能濃度が原子力規制委員会の定める限度を超えないものに限る。)であつて放射性物質飛散 又は 漏えいの防止その他の原子力規制委員会の定める 障害防止 のための措置を講じたものを運搬する場合
ロ 核燃料物質によつて汚染された物であつて大型機械等容器に封入して運搬することが著しく困難なものを原子力規制委員会承認 を受けた 障害防止 のため
の措置を講じて運搬する場合
三 前号の容器は、次に掲げる基準に適合するものであること。
イ 当該容器に外接する 直方体 の各辺が 十センチメートル 以上となるものであること。
ロ  容易 かつ安全に取り扱うことができ、かつ、運搬中に予想される温度 及び 内圧の変化 、振動等により、き裂、破損等が生ずるおそれがないものであること。

 

(2)

(六ふつ化ウランに係る核燃料輸送物の技術上の基準)
第十二条 六ふつ化ウランを第三条の規定により核燃料輸送物として運搬する場合には、当該六ふつ化ウランに係る核燃料輸送物は、次に掲げる技術上の基準に適合するものでなければならない。
一 当該六ふつ化ウランの容積は、封入又は取出しの時に予想される 最高温度 において、容器の内容積の 九十五パーセント を超えないこと。
二 通常の運搬状態において、当該六ふつ化ウランが 固体状 であり、かつ、容器の内部が 負圧 となるような措置が講じられていること。
原子力規制委員会の定める量以上の六ふつ化ウランが収納されている核燃料輸送物(以下「六ふつ化ウラン輸送物」という。)にあつては、前項の基準に加え、次に掲げる技術上の基準に適合するものでなければならない。
原子力規制委員会の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る耐圧試験の条件の下に置くこととした場合に、放射性物質漏えい がなく、かつ、受け入れられない 応力 が発生しないこと。
原子力規制委員会の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、放射性物質漏えい がなく、かつ、 に損傷のないこと。
原子力規制委員会の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る特別の試験条件の下に置くこととした場合に、 密封装置 に破損がないこと。
四 安全弁、逃がし弁その他の容器の内部の流体の排出による 過圧防止効果 を有する装置を 備えない こと。

 

4.

(貯蔵)
 第七条の七
一 核燃料物質の貯蔵は、貯蔵施設において行うこと。
二 貯蔵施設の目につきやすい場所に、貯蔵上の注意事項を掲示すること。
三 核燃料物質の貯蔵に従事する者以外の者が貯蔵施設に 立ち入る場合は、その貯蔵に従事する者の指示に従わせること。
四 核燃料物質の貯蔵は、いかなる場合においても、核燃料物質が 臨界に達する おそれがないように行うこと。
五 六ふつ化ウランの貯蔵は、六ふつ化ウランが 漏えい するおそれがない構造の容器に封入して行うこと。
六  プルトニウム 又はその化合物の貯蔵は、 プルトニウム 又はその化合物が漏えいする おそれがない構造の容器に封入して行うこと。ただし、 グローブボックス その他の 気密設備 の内部において貯蔵を行う場合その他 プルトニウム 又はその化合物が 漏えいする おそれがない場合は、この限りでない。
 

(2)

(譲渡し及び譲受けの制限)
第六十一条 核燃料物質は、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。ただし、国際約束に基づき国が核燃料物質を譲り受け、若しくはその核燃料物質を譲り渡し、又は国からその核燃料物質を譲り受ける場合は、この限りでない。
一 (略) 
二 加工事業者が 製錬事業者試験研究用等原子炉設置者発電用原子炉設置者 、再処理事業者、 廃棄事業者 、使用者若しくは他の加工事業者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から核燃料物質を譲り受ける場合

三~八(略)
九  製錬事業者 、加工事業者、 試験研究用等原子炉設置者発電用原子炉設置者 、再処理事業者、使用者又は国際規制物資使用者が核燃料物質を 輸出 し、又は 輸入 する場合
 

(3)

核燃料物質の加工の事業に関する規則
(工場又は事業所内の廃棄)
第七条の八
十二  固体状放射性廃棄物は、次に掲げるいずれかの方法により廃棄すること。
イ  放射線障害 防止の効果を持つた焼却設備において焼却すること。
ロ 容器に封入し、又は容器に 固形化 して 放射線障害 防止の効果を持つた保管廃棄施設に保管廃棄すること。
ハ ロの方法により廃棄することが著しく困難な大型機械等の放射性廃棄物又は 放射能の時間による減衰 を必要とする放射性廃棄物については、 放射線障害 防止の効果を持つた保管廃棄施設に保管廃棄すること。
 
(記録)
第七条
放射線管理記録
 記 録 事 項: チ 廃棄施設に廃棄し、又は海洋に投棄した放射性廃棄物の種類、当
放射性廃棄物に含まれる 放射性物質の数量 、当該放射性廃棄物を容器に封入し、
又は容器に 固形化 した場合には当該容器の数量及び 比重 並びにその廃棄の日時、場所及び方法
 記録すべき場合: 廃棄の都度
 保 存 期 間:  廃止措置 が終了し、その結果が原子力規制委員会規則で定める基準に適
合していることについて、原子力規制委員会の確認を受けるまでの間

 

核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則
(保安のために必要な措置等)
第二条 法第五十八条第一項の規定により、
同項に規定する原子力事業者等は、製錬施設、加工施設、試験研究用等原子炉施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、廃棄物埋設施設、廃棄物管理施設又は使用施設等を設置した工場又は事業所(原子力船を含む。)の外において行われ放射性廃棄物の廃棄に関し、次の各号に掲げる措置を採らなければならない。
放射性廃棄物は、第三号に規定する
場合を除き、 放射線障害 防止の効果を持つた廃棄施設に廃棄すること。
二 前号の規定により放射性廃棄物を廃
棄する場合には、当該廃棄施設を設置した使用者等に、当該放射性廃棄物に関する 記録の写し を交付すること。
三 (略) 

 

5.

(1)原子炉等規制法
第六十四条 原子力事業者等(原子力
事業者等から 運搬 を委託された者及び受託貯蔵者を含む。以下この条並びに次条第一項及び第二項において同じ。)は、その所持する核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は原子炉に関し、地震火災 その他の災害 が起こつたことにより、核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による 災害 が発生するおそれがあり、又は発生した場合においては、直ちに、主務省令(第三項各号に掲げる原子力事業者等の区分に応じ、当該各号に定める大臣又は委員会の発する命令をいう。)で定めるところにより、 応急の措置 を講じなければならない。

2 前項の事態を発見した者は、直ちに、その旨を 警察官 又は 海上保安官 に通報しなければならない

原子力規制委員会又は 国土交通大臣 大臣は、第一項の場合又は核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物若しくは原子炉による 災害 発生の急迫した危険がある場合において、核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による 災害 を防止するため緊急の必要があると認めるときは、同項に規定する者に対し、次に掲げる原子力事業者等の区分に応じ、製錬施設、加工施設、試験研究用等原子炉施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理理施設、廃棄物埋設施設若しくは廃棄物管理施設又は使用施設の 使用停止 、核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の 所在場所 の変更その他核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による 災害 を防止するために 必要な措置 を講ずることを 命ずる ことができる。(以下略)

 

(2)使用済燃料の再処理の事業に関する規則
第二十条 法第六十四条第一項の規定により、再処理事業者は、次の各号
に掲げる 応急の措置 をとらなければならない。
一 再処理施設に 火災 が起こり、又は再処理施設に 延焼 するおそれがあ
る場合には、消火 又は 延焼 の防止に努めるとともに直ちにその旨を 消防吏員 に通報すること。

二 核燃料物質を他の場所に移す余裕がある場合には、必要に応じてこれを安全な場所に移し、その場所の周囲には、なわ張り、標識等を設け、かつ、 見張人 をつけることにより、関係者以外の者が 立ち入る ことを禁止すること。
射線障害 の発生を防止するため必要がある場合には、再処理施設の内部にいる者及び附近にいる者に 避難するよう警告すること。
四 使用済燃料等による汚染が生じた場合には、すみやかに、その 広がりの防止及び
除去 を行なうこと。
放射線障害 を受けた者又は受けたおそれのある者がいる場合には、すみやかに救出し、避難 させる等緊急の措置を講ずること。
六 その他 放射線障害 を防止するために 必要な措置 を講ずること。